PR戦略とは?重要性や効果的な進め方、注意点を解説
「良い製品さえあれば自然に売れる」といった時代は終わりを迎えています。
現代では、製品やサービスの魅力だけでなく、企業としての姿勢や社会との関係性が選ばれる理由の一つとなっています。
その中で注目されているのが「PR戦略」であり、ブランドへの信頼や共感を育み、ステークホルダーとの関係構築を促す重要な手段です。
そうはいっても、「PR戦略とは何か」「どう設計すればよいのか」が明確に見えていない企業の担当者の方も少なくありません。
そこで本記事では、PR戦略が必要とされる理由から、実行に移すための具体的なステップまでをわかりやすく解説します。

美容プロモーション・化粧品PRの専門家
マヴェリック編集部
代表 桑原由美子が率いる美容専門のPR会社。1996年の創業からビューティに特化したメディアコミュニケーションを実施。長年のキャリアで築き上げたメディアとの信頼関係を強みとして、WEBを含む美容誌・女性誌へのアプローチを中心に、イベント、インフルエンサーマーケティングなど、常にトレンドや時代のニーズに合わせたPRの戦略と戦術を設計することでブランドや製品の認知度向上に貢献。
PR戦略とは?
PR戦略とは、企業や組織がユーザー・スタッフ・取引先・株主・投資家といったステークホルダーと良好な関係を築き、ブランドイメージや認知度を高めるために、戦略的にコミュニケーション活動を行うことを指します。
単に情報を発信するだけでなく、長期的な視点に立って、ターゲットとする人々に「何を」「どのように」伝えるかを戦略的に考えることが重要です。
PRは広報や広告としばしば混同されるので、以下ではそれぞれの違いについて解説します。
広報との違い
PRは企業や組織がステークホルダーとの良好な関係を構築・維持するために行う、コミュニケーション活動全体を指します。
発信した情報が社会からどのように受け止められるか、どういった関係性を構築したいかという長期的視点に基づき、活動全体を計画・実行することが特徴です。
一方で、広報はPR戦略の具体的な手法の1つと位置付けられます。
主に企業や組織の情報をメディアに発信し、認知度向上やイメージアップを目指す活動のことです。
具体的には、プレスリリース(ニュースリリース)の配信やメディアへの取材呼びかけ、記者会見やイベントの開催などが挙げられます。
広告との違い
PRは、基本的にメディアがその情報にニュース価値を見出し、第三者として取り上げることで成立します。
広告だけでは獲得しづらい客観性と高い信頼性を得ることができ、企業のブランド価値を大きく向上させる効果が期待できます。
一方で広告は、企業が意図するメッセージを直接にユーザーに伝える手法で、テレビCM・新聞広告・Web広告などが典型例です。
広告はメッセージの内容や発信するタイミングを企業側が制御できる利点がありますが、多額の費用が発生し、ユーザーからは客観性や信頼性に欠けるものとして認識されやすいです。
PR戦略が重要視されている理由
PR戦略が重要視されている理由は、次の通りです。
- 「良いものは売れる」時代は終わったから
- 顧客ロイヤルティが重視されているから
- 費用対効果が高いから
それぞれ詳しく見ていきましょう。
「良いものは売れる」時代は終わったから
かつては良いものを作れば自然と売れる時代でしたが、現在は市場に多様な製品やサービスがあふれすぎており、ユーザーの選択肢は大きくに広がっている状態です。
単に企業側が製品のスペックを伝えるだけではユーザーの心には響かず、いくら高品質なものを作っても売れなくなりました。
そのため、昨今では製品やサービスを展開する企業の理念、社会貢献への姿勢、スタッフの働きやすさといった「ストーリー」や「信頼性」を重視する傾向が強まっています。
PR戦略を通じて、製品のみならず、企業やブランドの想い、社会に対するメッセージなどを発信することが重要です。
顧客ロイヤルティが重視されているから
ユーザーは製品に対して単なる機能や価格だけでなく、ブランドが発信するストーリーやメッセージに「共感できるか」「感情的なつながりを感じられるか」を重視しています。
PR戦略では、単なる製品・サービスの販売促進に留まらず、企業イメージの向上とユーザーとの信頼関係を深めることが大切です。
PR戦略を活用して、製品が生まれた背景にあるストーリーなどブランドの世界観を伝えることで、顧客ロイヤルティが育成されて売上アップにつながります。
費用対効果が高いから
広告と比べると、プレスリリース(ニュースリリース)やSNSでの自然な拡散は、費用を抑えながらも広範な露出や高い信頼性を得られる可能性があります。
特に中小企業にとっては、限られた予算で効果的なプロモーションを行ううえで、PRは有効な手段となるでしょう。
「莫大な広告費をかけられない」「コストパフォーマンスの高い方法でマーケティング活動を行いたい」という場合は、PR戦略に尽力することがおすすめです。
PR戦略でよくある失敗
PR戦略は企業の信頼性やブランド価値を高める重要な活動ですが、十分な準備や計画がなされていないと、期待した成果が得られないばかりか、かえってブランドイメージを損なうリスクもあります。
実際、PR活動においては以下のような典型的な失敗がよく見られます。
よくある失敗 |
対策 |
---|---|
目的が曖昧なまま進めた結果、社内外で一貫性のない発信となった |
数値化できるKPIとブランドメッセージの統一を事前に行う |
一部メディアやインフルエンサーに依存しすぎて炎上につながった |
複数チャネルを横断しながら効果測定・再設計を並行する |
PR施策の成果が測定されず、PDCAが回らなかった |
KPIや分析ツールを活用し、定期的な振り返りを行う |
こうした失敗を回避するためにも、戦略的に進めるステップを理解しておくことが大切です。
PR戦略の効果的な進め方
PR戦略の効果的な進め方は、次の通りです。
- 目標設定と現状分析
- ターゲット層の明確化
- ストーリーの設計(ブランドメッセージの構築)
- 適切なメディア選定
- 施策の実行
- 効果測定と改善
それぞれの方法を具体的に解説するので、参考にしながら実行に移しましょう。
1.目標設定と現状分析
「ブランドの認知度を向上させたい」「サービスの契約数を増やしたい」など、PR活動で何を達成したいのかを明確にしてください。
このとき、客観的に効果が分析できるように「〇%向上させる」「〇ポイント高める」など、測定可能な数値目標を設定することが重要です。
以下のSWOT分析を使って自社や市場の現状を確認し、PR戦略の方向性を決めましょう。
SWOT |
詳細 |
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Strength(強み) |
高い技術力・ブランド力・コスト競争力など、企業が持つ独自の強みや優位性 |
Weakness(弱み) |
技術力不足・低コスト化の遅れ・組織体制の脆弱さなど、企業が改善すべき点や欠点 |
Opportunity(機会) |
市場の拡大・新技術の登場・規制緩和など、企業が外部環境から得られるチャンス |
Threat(脅威) |
競合他社の台頭・市場の縮小・規制の強化など、企業が外部環境から受けるリスクや脅威 |
2.ターゲット層の明確化
メッセージを届けたい具体的なターゲット層を明確にしましょう。
年齢・性別・職業・興味関心・ライフスタイルなど、ターゲット層の属性を明確化することで、効果的に訴求できるメッセージやビジュアルなどを設計しやすくなります。
このとき、現在のユーザー(ファン)と潜在的なユーザーではニーズや価値観などが異なるので、それぞれの層に適した訴求方法を設計することも重要です。
3.ストーリーの設計(ブランドメッセージの構築)
単なる事実の羅列では、ユーザーの心に響くことはありません。
企業や製品・サービスが「なぜ存在するのか」「どのような価値を提供するのか」「どのような情熱を持って生み出されたのか」といった、独自のストーリーを設計することが不可欠です。
このストーリーこそがユーザーの共感を呼び、ブランドに特別な意味を与えられるので、顧客ロイヤルティが向上しやすくなります。
企業の核である「ブランドメッセージ」となるので、熱い想いを込めて丁寧に設計しましょう。
4.適切なメディア選定
設計したストーリーとブランドメッセージをターゲット層に効果的に届けるため、最適なメディアを選定します。
テレビ・新聞・雑誌・Webメディア・SNS・イベントなど、各メディアで特性やリーチできる層が異なります。
それぞれのメディアの強みや弱みなどを把握したうえで、ターゲット層が最も情報に接触する可能性が高いものを特定することが重要です。
5.施策の実行
活動内容・スケジュール・担当者・予算などを具体的に決めてからPR施策を実行します。
プレスリリース(ニュースリリース)の作成・配信、メディアへの企画提案、SNSを活用した情報発信、イベントの開催、インフルエンサーとの連携など、多岐にわたる手法を組み合わせることが大切です。
また、KPI(重要業績評価指標)を設定し、PR戦略の進捗状況を定期的にチェックする必要があります。
6.効果測定と改善
設定した目標に対し、どれくらいの効果があったのかを測定し、改善点を洗い出します。
メディア露出数、ウェブサイトのアクセス数、SNSのエンゲージメント、アンケート調査などを通じて効果を検証し、次なるPR活動に活かしましょう。
目標が未達の場合は、その原因を詳細に究明し、次回のPR活動における改善点としてフィードバックしてください。
PR戦略に取り組むときの注意点
PR戦略に取り組むときの注意点は、以下の通りです。
- 最初に決めた計画や手法に固執しない
- 長期的な視点を持つ
- 属人化しないようにチーム全体で共有する
- 法律を遵守する
1つずつチェックしていきましょう。
最初に決めた計画や手法に固執しない
社会情勢やトレンドの変化をはじめ、ステークホルダーや自社の経営状況などによってPR戦略は変える必要があります。
初期に策定した計画や採用した手法が、時間の経過とともに有効性を失う可能性も考慮しなければなりません。
そのため、状況に応じて柔軟に計画を見直し、新たな手法を積極的に導入する姿勢が不可欠です。
最初に作ったPR計画や手法に執着しすぎないように気をつけ、時代や環境の流れに合わせて柔軟に対応しましょう。
長期的な視点を持つ
PRは広告のように費用を払えばすぐに結果が出るものではなく、実際にメディアに取り上げられるかどうかはメディア側の判断に委ねられるうえに、信頼関係の構築には時間がかかります。
短期間での成果を追求すると、戦略の方向性を見誤るリスクがあり、PR戦略に対するモチベーションが下がる恐れがあります。
すぐに効果が出ないからといって諦めず、長期的な視点を持って地道に活動を継続することが重要です。
属人化しないようにチーム全体で共有する
属人化とは、業務の進め方やノウハウといった情報が、特定の担当者しか把握していない状態を指します。
データの定期的な共有や作業フローのドキュメント化などを行い、PRチーム全体でノウハウやスキルを獲得してください。
情報共有を徹底することで、より強固な体制を確立でき、長期間にわたりPRに継続的かつ戦略的に取り組めるようになるでしょう。
法律を遵守する
PR戦略を実施する際には、計画や組織体制だけでなく、法令順守の観点からも注意が必要です。
たとえば、SNSでの情報発信やインフルエンサーとの連携を行う場合、景品表示法に基づいた適切な表示が求められます。
広告であることを明示せずに投稿すると「ステルスマーケティング(ステマ)」とみなされ、企業の信用を大きく損なうおそれがあります。
2023年には消費者庁から「景品表示法とステルスマーケティングに関するガイドライン」も公表されており、「#PR 」や 「#広告」などの表示を明記することが必須です。
PR活動を進めるうえでは、こうした法的リスクに対する基本知識とガイドラインの確認も重要です。
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PR戦略は、製品や企業の魅力を正しく、そして深く伝え、ユーザーの心に信頼と共感を育む「ブランドづくりの中核戦略」です。
どんなに優れた化粧品でも、ターゲットに届かなければ選ばれません。
だからこそ、ターゲット層を見極め、最適なメディアを選定し、的確なメッセージを発信することが重要です。
マヴェリックは、美容分野に特化したPRの専門家です。
これまで数多くの化粧品・美容サービスのPR戦略を手がけ、雑誌・Webメディアなどのマスメディアとも信頼関係を構築してきました。
「化粧品の良さをもっと多くの人に届けたい」「新商品をしっかり話題にしたい」といった想いをお持ちの方は、ぜひ一度マヴェリックにご相談ください。