化粧品のリピーター獲得に効果的!ブランディングの実践的ノウハウを徹底解説

化粧品は「初めての人にいかに選ばれるか」というだけではなく、「いかにリピーターを獲得するか」が重要になってきます。

しかし、競合が多く、トレンドの移り変わりも激しい業界なので、「成分や品質、機能性、価格などをアピールするだけでは初回購入にはつながっても、リピーター獲得につながらない」と、次なる打ち手に悩んでいる企業さまも多いのが実情です。

リピーター獲得のためには単に成分や品質、機能性、価格など以上の他社には提供できない価値を考え、お客様に認知してもらう必要があります。

そのために実施すべきなのがブランディングです。

本記事では、そんなリピーター獲得に有効な化粧品のブランディングの実践的なノウハウをご紹介します。

ブランディングとは無意識に感じる価値の創出

みなさんがリピートして使っている化粧品について質問です。

「使ってみてよかった、という理由以外にその化粧品を選び続けている理由を教えてください」

おそらく、回答が難しいと感じるのではないでしょうか。

また、「なんとなく良いと思った」「自分に合っている感じがした」「可愛いから」など、ふわっとした回答になってしまう人が多いと思います。

「なんとなく良いなと思って使い続けている」というお客様が無意識に見出した化粧品の価値を意図的に狙って創り上げていくのがブランディングです。

【事例解説】ブランディングに成功するとどうなる?

ブランディングとは、ユーザーがその化粧品やサービスに対して無意識に抱く印象や価値を意図的に作り上げることです。

ブランディングに成功すると、成分や品質、機能性、価格などを他社の化粧品と比べることなく、選ばれるようになります。

つまり、他社とは違う独自のポジションを築き、ユーザーから「唯一無二の化粧品」と認識してもらえるようになります。

いくつか化粧品ブランディングの成功事例を見ていきましょう。

雪肌精(コーセー)

コーセーの看板化粧品である「雪肌精」は1985年発売以来、売れ続けているロングセラーですが、2019年頃から同様の「美白効果」を売りにする競合ブランドが数多くでてきたことにより売上の低迷が続いていました。

特に若い世代のユーザーが少ないということから、リブランディングを実施。

マーケット調査により、若い世代のユーザーは化粧水をブランドボトルから無地のボトルに移し替えることが多いことから、KOSEと大きく書かれたボトルから、無地に近いシンプルなデザインへと変更しました。

ブランドロゴもKOSEから商品名であるSEKKISEIに変更。

これにより、既存の雪肌精のユーザーを逃すことなく、新たに若い世代からの支持を集めることに成功しました。

ブランディングはユーザーのニーズと、ブランドが提供できる価値をいかに一致させるかが重要です。

しっかりとマーケット調査を行い、若い世代のニーズをブランディングに反映したからこそできた成功事例と言えます。

ファシオ(コーセー)

コーセーの代表的な化粧品ブランドである「ファシオ」は、2000年2月の発売以降、若い世代を中心に支持されていましたが、それから20年近く経過し、主要顧客層が40代となってしまっていました。

また、韓国コスメや中国コスメなどの台頭により、売上が低迷、ブランド事業を立て直すには若い世代からの支持を集める必要がありました。

そこでマーケット調査を実施したところ、ファシオは「母親世代が使っているブランドのイメージ」という声が多く、若い世代に全く訴求できていないことが明確になり、リブランディングを実施。

また、「化粧をすること」への概念も、時代とともに「見え方や身だしなみを意識して行うもの」から「自分らしさをアピールするために行うもの」というものに変わってきていることが分かったのだそうです。

このようにマーケット調査で明確になった課題を元に、2021年5月にブランディングを刷新し、新しいブランドコンセプトである、「なじむ、らしさ、つづく。」を掲げました。

若い世代からの支持を集めることに成功しています。

コーセーが展開するメーキャップブランド「ファシオ」が20代など若年層のファンを増やしている。今年5月にブランドを刷新し、肌になじみ負担感の少ない付け心地のアイテムをそろえた。デビュー当時からの「高機能コスメ」という強みを維持しつつ、若い世代の価値観を反映したコンセプトを取り入れてブランドの躍進につなげている。

引用元:日経MJ「コーセー『ファシオ』『自分らしさ』で20代にも訴求」

化粧品のブランディングの流れ

化粧品のブランディングは一般的に次のような流れで進めていきます。

ブランディングの必要性を社内で共有する

社内で同じ方向をみていかないと、ブランディングは成功しません。

「何のために、何を目指してブランディングに取り組んでいるのか」を明確に言語化し、共有することがまず重要です。

しかし、ブランディングは「成果の見通しが立てづらい上に、商品開発やパッケージなどに大きな制約を作ることになります。

部署によってはブランディングによって仕事が増えてしまうことも往々にしてあるのです。

そのため、全社員が前向きにブランディングの必要性を認識し、協力してもらえるように根気強くプレゼンしていかなければなりません。

各部署間の連携を強化し、共通の目標に向かって進むことで、ブランディングの効果を最大限に引き出すことができるのです。

ブランディングの必要性を社内で共有するためには、定期的なミーティングやワークショップの開催、ブランドの理念や目標を再確認するなどが効果的です。

ブランディングの方向性を決める

ユーザーがその化粧品を使った先にある未来像を想像し、ユーザーにどうなってもらうことが価値なのかを明確にし、言語化していきます。

ターゲットとなる顧客層やそのニーズを徹底的に調査し、競合他社との差別化のポイントを把握することから始めるのがおすすめです。

たとえば、特定の成分や技術を強調したり、環境に配慮した化粧品作りをアピールするなど、ブランドの方向性を明確にしていきましょう。

ブランドコンセプトを決める

その化粧品が持つ他にはない強みを言語化していきましょう。

ターゲットとなる顧客層が化粧品を使用するシーンを具体的に想像し、ユーザーの気持ちになりきって想像するとコンセプトが作りやすくなります。

たとえば、消費者がその製品を選ぶ理由を具体的に言葉にするなどです。

「自然派化粧品」「高機能スキンケア」「ラグジュアリーコスメ」など、ブランドの特徴を簡潔に表現した言葉を並べ、その中からピンとくるものを絞ったり、実際にターゲットユーザー層にアンケートやヒアリングを実施し、最も響く言葉を選んだりします。

ブランドアイデンティティを設定する

「ユーザーから自社の化粧品をこう思ってもらいたい」というブランドアイデンティティを設定します。

化粧品名を聞いただけでユーザーが特定のイメージを持てるようになるのが理想です。

ブランドアイデンティティを設定する際には、消費者に対する一貫したメッセージを伝えられるよう心がけましょう。

たとえば、ロゴ、カラー、フォント、トーン、全ての広告、パッケージ、店舗デザインにおいて統一されたビジュアルスタイルを採用するなどです。

また、キャッチコピーや動画、文章などでブランドストーリーを消費者に伝えることで、深い共感や、感情的なつながりを築くことができます。

提供する価値を設定する

化粧品を通じてどのような価値を提供していくのかを決めます。

たとえば、「肌に優しい」「持続可能な製品」「高級感」など、具体的な価値を明確にすることで、消費者にとってのメリットを伝えやすくなります。

それにより、「これは私が使うべき化粧品だ」とターゲット層に強く訴求することができるのです。

提供する価値を設定する際には、消費者のライフスタイルや価値観に合致するポイントを見つけることが重要です。

たとえば、環境に配慮した製品を提供することで、エコ意識の高い消費者にアピールすることができたり、高品質な成分を使用することで、美容に対して高い意識を持つ消費者に訴求することができます。

提供する価値が消費者のニーズと一致することで、ブランドの魅力が一層高まり、「これしかない」とユーザーに思わせるような強い訴求をすることができるのです。

商品パッケージや販売サイト・ページなどあらゆるものに反映

決まったコンセプトやアイデンティティ、提供価値を元に商品パッケージや販売サイト・ページなどに反映させていきます。

パッケージデザインは、ユーザーが化粧品を手に取る最初の接点であり、第一印象を左右するため、ブランドのメッセージを視覚的に伝える上で重要な存在です。

そのため、ブランドアイデンティティを強く反映させる必要があります。

具体的には、色、形、質感、フォントなどの要素を統一し、ブランドのメッセージを明確に伝えるよう心がけましょう。

また、販売サイトやページも、ユーザーが使いやすく、かつ魅力的に感じるデザインを心掛けることが重要です。

PR・マーケティングなど認知を広める施策を実施

ブランディングは設定しただけでは意味がありません。

それをいかに認知させていくのかも含めてブランディングです。

PRやマーケティング施策を実施し、作成したブランディングの認知度を高めていきます。

具体的な施策としては、SNSキャンペーン、インフルエンサーとのコラボ、メディア露出の強化などです。

PRやマーケティング活動を通じて、ブランドのメッセージを一貫して発信し、消費者との信頼関係を築くことが重要です。

化粧品のブランディングを成功させる実践的ノウハウ

ブランディングをより効果的に行い、化粧品の認知度を向上させていくために、次のような実践的ノウハウもぜひ検討していきましょう。

ペルソナを集めたヒアリング会を実施する

ターゲットとなるペルソナを集めたヒアリング会を実施し、実際のユーザーの声を直接聞きます。

ユーザーのニーズや不満点、期待することなど、フィードバックを積極的に収集し、それに基づいて化粧品のブランド戦略を調整していくのです。

ヒアリング会は、ブランディングの方向性を見直す貴重な機会となるだけではなく、ユーザーとの直接的なコミュニケーションを通じて、ブランドへの信頼感を高めることにもつながります。

SNS投稿の世界観を統一させる

SNS投稿の世界観を統一させることで、ブランドの一貫性を保ち、消費者に強い印象を与えることができます。

たとえば、投稿する画像や動画の色調やスタイル、使用するハッシュタグやキャッチフレーズなどを統一するなどです。

ユーザーの多くは化粧品の情報をSNSから得ているため、もはやSNSはブランドの顔とも言える存在。

そのため、SNSにおいても設定したブランディングを崩さないような、統一した世界観を創っていく必要があります。

PR(プレスリリース)を活用しメディアに訴求する

プレスリリースを活用し、メディアに訴求することで、ブランドの認知度を高めることができます。

新しい化粧品やキャンペーン情報を積極的に発信し、メディア露出を増やしていきます。

プレスリリースがメディアの目につくようにするには、ニュース性のある情報を提供することがポイントです。

メディア関係者にとって魅力的な内容を、適切なタイミングで提供することが成功の鍵と言えます。

また、プレスイベントや化粧品サンプルの提供など、メディアとの接点を増やすリアルイベントを合わせて行うなども有効な方法と言えるでしょう。

雑誌など紙媒体にも掲載する

ひと昔前に比べて発行部数が減っているとは言っても、いまだに雑誌は大きな影響力を持っている媒体です。

雑誌などの紙媒体にも掲載することにより、幅広い層に強くアプローチすることができます。

また、オンラインだけではリーチできない層にもアプローチすることができるのも魅力。

特に紙媒体の読者は信頼性を重視する傾向があるため、ブランドの信用度を高めることにもつながります。

ペルソナが思わず共有したくなる仕掛けづくり

設定したペルソナが思わず共有したくなるような仕掛けを作ることもブランディングにおいて重要です。

たとえば、インスタグラムで映えるパッケージデザインにしたり、ユーザーが自身の体験を共有したくなるようなコンテストやキャンペーンを実施するなどです。

具体的には、製品を使ったビフォーアフター写真の投稿コンテストや、製品レビューを投稿することで参加できるキャンペーンなどが考えられます。

このように、ペルソナが自発的に共有したくなるような仕掛けをつくることで、自然と口コミが広がっていきます。

リピートされる人気化粧品になるためにブランディングは必須

競合が多く、またトレンドの移り変わりが激しい化粧品業界で成功するためには、リピーターの獲得が不可欠です。

そのためには、他社には提供できない独自の価値を創出し、他社と比較されることなく使い続けてもらえるような商品作りが重要です。

そのためにも、本記事で紹介したブランディングの実践的ノウハウを参考に、自社の化粧品ブランドを強化し、リピーターを増やせないか検討してみましょう。

美容プロモーション・化粧品PR代行会社のマヴェリックでは、リピートされ長年愛される化粧品になるためのブランディングサポートなどを行っております。

ぜひ、お気軽にご相談ください。