D2Cブランディングの重要性とは?取り組むメリットや戦略、成功事例を紹介

今、多くの企業が注目しているのが「D2Cブランディング」です。

店舗を持たず、ネットで直接お客様とつながるビジネスモデルの中で、「選ばれるブランド」になるには、信頼や共感をどう築くかが重要になっています。

自社運営のECサイトやSNSなどを通じて、直接製品やブランドを販売するD2C(Direct to Consumer)では、ブランドの価値や世界観を確立してユーザーのロイヤリティを構築していくことが大切です。

D2Cブランディングとは、企業が製品を直接ユーザーに販売する中で、ブランドのイメージや信頼を一貫して伝え、ファンを育てていく取り組みです。

従来のように卸業者や実店舗を通さず、自社のECサイトやSNSを使って直接届けるため、顧客と深くつながるブランド作りが求められます。

D2Cブランディングに成功すれば、集客につながったり、類似製品との差別化が図れたりするので、自社製品やサービスの売上増加が期待できます。

本記事では、D2Cブランディングの重要性や成功戦略について、化粧品通販ブランドを中心に紹介します。

マヴェリックではこれまで多くのD2CブランドのPR支援に携わっており、実際の現場で得た知見をもとに、実践的かつ再現性のあるブランディング戦略を解説しています。

美容プロモーション・化粧品PR代行会社 有限会社マヴェリック

美容プロモーション・化粧品PRの専門家
マヴェリック編集部

代表 桑原由美子が率いる美容専門のPR会社。1996年の創業からビューティに特化したメディアコミュニケーションを実施。長年のキャリアで築き上げたメディアとの信頼関係を強みとして、WEBを含む美容誌・女性誌へのアプローチを中心に、イベント、インフルエンサーマーケティングなど、常にトレンドや時代のニーズに合わせたPRの戦略と戦術を設計することでブランドや製品の認知度向上に貢献。

D2Cにおけるブランディングの重要性とは?

数多くの製品やサービスが販売されているインターネット市場では、2025年のBtoC物販のうち約20〜25%がD2C事業になると見込まれており、市場規模は拡大していくことが予想されます。

D2C市場の成長は顕著であり、株式会社売れるネット広告社「デジタルD2C市場動向調査(2020年9月8日)」によると、デジタルD2Cの国内市場は2025年に3兆600億円に達すると予測されています。

実際に、経済産業省「電子商取引に関する市場調査(2024年)」によれば、物販系BtoC-EC市場は2023年に14兆6,760億円(前年比+4.83%)に達し、EC化率も9.38%へと拡大。

ユーザーの実店舗回帰とEC活用の両立が進み、BOPIS(Buy Online Pick-up In Store:オンライン購入後、実際のお店で製品を受け取る形態)やオンライン接客、アプリ通知を通じた「ブランドとユーザーの直接的関係性」強化も進行している状況です。

こうした構造的変化は、D2Cモデルにとって追い風といえるでしょう。

この背景には、スマートフォンの普及とSNSを中心とした情報接点の変化があり、ユーザーがブランドの世界観やストーリーに共感して購買する傾向が高まっていることが挙げられます。

また、Eコマースが広く普及している現在、ユーザーは製品やサービスだけでなく、その背後にある世界観や価値観に共感したうえで購入するケースが増えています。

実店舗や商社といった中間業者を間に挟まないからこそ、世界観や価値観を重要視するD2Cブランディングは必要不可欠です。

近年ではインスタグラムやX(旧:Twitter)などのSNSで情報発信したり、定期購入サービスを展開したりして、D2C事業を成功に導いている企業が多いです。

D2Cブランディングはしっかりと戦略を立てて実行すれば再現性が高いので、後述する成功事例を参考にして自社でも取り入れてみましょう。

D2Cブランディングに取り組むメリット

企業がD2Cブランディングに取り組むメリットは以下の通りです。

  • 顧客ロイヤルティが向上する
  • 口コミ拡散による集客アップが期待できる
  • 類似製品との差別化が図れる
  • 効果測定しやすい

メリットが具体的にイメージできるように、1つずつ解説します。

顧客ロイヤルティが向上する

顧客ロイヤルティとは、ユーザーが企業やブランド、製品やサービスに対して感じる愛着や信頼、忠誠心を指します。

顧客ロイヤルティが向上すると、ユーザーはリピート購入したり、新ブランドを展開した際に真っ先に注目したりしやすくなります。

口コミ拡散による集客アップが期待できる

人は自分が好きなものやお気に入りのものを、他人に教えたくなる習性を持っています。

D2Cブランディングが功を奏して製品やサービスを気に入ってくれてファンが増加すれば、そのファンが新たに別のユーザーに紹介して、さらにファンが増やせる可能性があります。

類似製品との差別化が図れる

ブランディングが確立されていれば、ユーザーに「唯一無二の存在」「類似製品がない逸品」として認識されます。

類似製品よりも値段が多少高くてもユーザーは手に取ってくれるので、価格競争から脱却できるでしょう。

「販売価格を今よりも下げられない」「相場通りの価格帯なのに、売上が伸び悩んでいる」と困っている場合は、D2Cブランディングに取り組んでみてください。

効果測定しやすい

D2Cはユーザーのサイトへの訪問や購入などがすべてインターネット経由で行われるので、デジタルデータとして顧客情報を管理できます。

訪問数やリピート率、コンバージョン率やインプレッション数などが数値化され、今後の戦略や改善策を具体的に打ち出しやすいです。

また、テレビCMや雑誌などのマスメディアとは異なり、広告の改善策を即座に反映できるのもメリットです。

ただし、顧客情報の取り扱いに関しては、個人情報保護法に基づいた適切な管理が求められます。

特に、購入履歴や氏名・住所・メールアドレスなどの個人情報は、第三者提供の有無、利用目的、保存期間などを明示し、ユーザーからの同意を得る必要があります。

D2Cブランディングで成功するための戦略

D2Cブランディングで成功するための戦略は、次の通りです。

  • ブランドの世界観を確立し、強みを言語化する
  • ブランドのターゲット層を明確にする
  • 情緒便益を念頭に置く
  • 積極的にSNSで情報発信する

どれも重要な要素なので、以下からの解説でしっかりと把握しましょう。

ブランドの世界観を確立し、強みを言語化する

ユーザーは製品・サービスの背後にあるストーリーやブランドの世界観に共感して価値を考えたうえで、実際に購入する傾向が高まっています。

そのため、ブランド独自の世界観や類似製品にはない強みを言語化して、ユーザーの心に訴えかけることが大切です。

競合他社の製品を徹底的に研究して、今一度、自社製品がしっかりと訴求できるポイントがないか洗い出してみましょう。

ブランドのターゲット層を明確にする

性別・年齢層・会社員・パパやママなど、自社ブランドを売り出したいターゲット層を明確にしましょう。

ターゲット層が確立すれば、パッケージデザインやキャッチコピーを決めやすくなったり、効果的なマーケティング戦略を立てやすくなったりします。

ブランドのターゲット層が曖昧だと、ブランド独自の世界観が確立できずにD2Cブランディングが成り立たなくなるので、綿密に設定してください。

情緒便益を念頭に置く

情緒便益とは、製品やサービスを利用することで、ユーザーが感じたり味わったりする感情や心の満足感を指します。

たとえば「スポーツドリンクを飲むと、爽やかでエネルギッシュな気分になって気持ちが良い」「肌が綺麗になることで、自分に自信が持てるようになる」などが挙げられます。

情緒便益に注目して、自社製品がユーザーにとって理想の自分になるための魅力的な逸品であることをアピールしましょう。

積極的にSNSで情報発信する

D2Cブランディングを成功させたいなら、企業とユーザーが直接つながれるツールであるSNSを積極的に活用すべきです。

ビジュアルを強く打ち出したいなら写真をたくさん掲載できるインスタグラム、分かりやすさや使いやすさを訴求したいなら動画で発信できるYouTubeなど、情報の発信方法によってSNSを使い分けましょう。

むやみやたらにSNSを運営せず、自社製品を最もユーザーにとって魅力的に見せられるようなものをきちんと選ぶことがポイントです。

D2Cブランディングの成功事例

D2Cブランディングの成功事例を5つご紹介します。

  • PHOEBE BEAUTYUP(フィービービューティアップ)
  • SHIRO(シロ)
  • meeth(ミース)
  • SISI(シシ)
  • BULK HOMME(バルクオム)
  • minum(ミニュム)
  • RICAFROSH(リカフロッシュ)

どのブランドもD2Cブランディングで成功するための戦略をうまく取り込んでいるので、自社で応用できる点はないか参考にしてみましょう。

以下から、各事例について詳しく解説します。

PHOEBE BEAUTYUP(フィービービューティアップ)

PHOEBE BEAUTYUPは、まつ毛美容液「アイラッシュセラム」や、美容液配合のマスカラ「ビューティーアップマスカラ」などを取り扱っているコスメブランドです。

公式ブランドサイト兼ECサイトでは淡いピンクカラーをトーン&マナーとして採用しており、女性らしさや愛らしさを全面的に打ち出しています。

定期便や送料無料をはじめ、誕生日特典や1ポイント=1円として使えるポイント制度を導入しており、リピーターを増やすことに成功しています。

また、インスタグラムやXでは特定の条件を満たすと抽選でコスメの現物がプレゼントされる企画を定期的に実施しており、ユーザーの関心を引き続けていることが特徴です。

SHIRO(シロ)

SHIROは2009年に北海道で生まれたコスメブランドで、成分には日本国内で採れた自然のものを中心に使用しています。

保湿成分には酒かすや米ぬか、肌整成分にはショウガやゆずなどを使っており、自然を大切にしている世界観を確立しています。

コスメのパッケージデザインは、白をベースに小さめの黒い文字でブランド名が記載されているだけとシンプルで、老若男女を問わずに手に取りやすいことも魅力です。

デパコスなので販売価格は多少高いですが、「自然の恵みを存分に享受したい」「自然の力で肌をいたわりたい」「余計な成分はいらない」という考えを持ったユーザーから支持を得ています。

meeth(ミース)

meethは美肌研究家のソンミさんがプロデュースしている日本のコスメブランドで、特に水・鮮度・成分にこだわった製品展開が特徴です。

「美肌は最高のジュエリー」をコンセプトに、日本だけではなく、アジアの女性の肌を美しくするというビジョンを掲げています。

インスタグラムでは「うるおい」や「透明感」を連想されるような演出を施した製品の写真が数多く投稿されていて、ブランドの世界観がダイレクトに伝わるでしょう。

さらに、製品の開発ストーリーやソンミさんの想いなども掲載しており、ファンの共感を誘うような発信も目を引きます。

SISI(シシ)

SISIは「肌にやさしい機能性スキンケア」をモットーとした、敏感肌向けの製品を販売するコスメブランドです。

「肌と向き合い、肌をいたわり、肌を思う。」というメッセージを掲げ、自分の肌を大切にしたいと思っているユーザーに向けたブランディングを展開。

敏感肌向けの基礎化粧品はシンプルなパッケージデザインが多い中、原色の赤やビタミンカラーの黄色など、使うたびに楽しくなるものを採用してユニークな世界観を確立しています。

「敏感肌だと使える化粧品が限られている」といったネガティブな印象を払拭し、明るくて元気なイメージを抱かせる製品作りに取り組んでいることが魅力です。

BULK HOMME(バルクオム)

BULK HOMMEは、男性向けの洗顔料・化粧水・乳液といった基礎化粧品を取り扱うコスメブランドです。

20〜30代の若い男性をターゲットとして、「ベーシック」や「揺るぎない価値」をモットーとした世界観を打ち出しています。

ホームページやインスタグラムは白と黒の2色をトーンマナーとしており、男性でも使いやすい化粧品というイメージを作り上げています。

定期コースの購入金額の10%がポイント還元されたり、定期コース3回目以降はBULK HOMME製品から好きなものを自由に組み合わせられたりするなど、継続するメリットが豊富な点も強みです。

minum(ミニュム)

minumは「ミニサイズで、価格も手にとりやすく、品質も良いものを」をコンセプトに掲げる、手のひらサイズのアイテムを展開しているコスメブランドです。

ブランド発足時から全部で53種ものアイテムを発売し、ほぼ全品が500円のワンコイン価格となっていることが特徴で、プチプラコスメに敏感な10〜20代の女性をターゲットとしています。

Z世代を中心に支持を集める俳優・声優の齊藤なぎささんをイメージモデルとして起用し、ターゲット層にしっかりとアプローチ。

アイシャドウやチークにはリボンやイチゴといった可愛いモチーフを刻印し、キュートな世界観を確立しています。

RICAFROSH(リカフロッシュ)

RICAFROSHはYouTuber・ファッションモデルの古川優香さんがプロデュースする、リップアイテムのみを取り扱っているコスメブランドです。

「一日続くニュアンスカラーを、カジュアルに。」をブランドコンセプトとしており、誰でも簡単に垢ぬけられるようなカラーを展開し、リップメイクにこだわりたいユーザーから支持を集めています。

また、古川さんの友人・知人100名に製品を実際に体験してもらい、挙げられた使用感や感想をSNSで発信してブランドの認知拡大につなげました。

さらに、YouTubeでは古川さん自身がリップアイテムの特徴や魅力、使用感などを直々に解説する動画を公開していて、類似製品との圧倒的な差別化を図っています。

D2Cブランディングでお悩みの方はマヴェリックまで

D2Cブランディングでは、顧客ロイヤルティが向上したり、効果測定しやすかったりするなどメリットがあります。

ですが、成功するためには「ブランドの世界観を確立する」「情緒便益を大切にする」といった専門的なテクニックが求められるので、自社だけでは太刀打ちできないかもしれません。

マヴェリックは、美容に特化したPR会社として、D2Cブランドの戦略設計からSNSを活用したエンゲージメント強化、ブランドの選好性の向上に至るまで、豊富な実績とノウハウを有しています。
マヴェリックでは、契約をしている企業様に対してコンサルティングを含めた幅広いサポート内容をご提供しております。
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