インフルエンサーマーケティングとは?メリット・デメリットや事例を紹介
インフルエンサーマーケティングとは、SNSなどで多くのフォロワーを持つインフルエンサーを通じて製品やサービスを発信していくマーケティング手法です。
たとえば、テレビCMやWeb広告のように企業主体で発信する方法と比べると、インフルエンサー自身の言葉で紹介されるため、ユーザーにとって、より自然で親しみやすい印象を持たれやすいという違いがあります。
インフルエンサーのフォロワーが「広告を見せられている」という印象を抱きにくいことがメリットで、リポストによって情報が拡散されやすい点が特徴です。
たとえば塩田柚香子による研究「インフルエンサーに対するファン心理がクチコミ広告及び商品・ブランドの評価に与える影響」では、「擬似友人関係」や「外見的魅力」などのファン心理が強いフォロワーほど、インフルエンサーのクチコミ投稿に対して広告懐疑心が生じにくく、投稿内容を信頼しやすい傾向が明らかになっています。
特に「擬似友人ファン層」では、広告としての疑念が薄れ、口コミ的な信頼で受け入れられる傾向が高いとされており、結果的にリポストや情報拡散の動機につながると考察されています。
自社の製品やサービスをインフルエンサーに紹介してもらうことで、インフルエンサーのファン以外の方にも情報が伝わる可能性が高いため、一定のPR効果が期待できるでしょう。
今回はインフルエンサーマーケティングのメリット・デメリットや成功事例について、詳しく解説します。

美容プロモーション・化粧品PRの専門家
マヴェリック編集部
代表 桑原由美子が率いる美容専門のPR会社。1996年の創業からビューティに特化したメディアコミュニケーションを実施。長年のキャリアで築き上げたメディアとの信頼関係を強みとして、WEBを含む美容誌・女性誌へのアプローチを中心に、イベント、インフルエンサーマーケティングなど、常にトレンドや時代のニーズに合わせたPRの戦略と戦術を設計することでブランドや製品の認知度向上に貢献。
インフルエンサーマーケティングとは?
インフルエンサーマーケティングとは、SNSなどで影響力を持つインフルエンサーに自社の製品やサービスを紹介してもらい、認知拡大や購買促進を図るマーケティング手法です。
従来の広告とは異なり、インフルエンサー自身の言葉で製品やサービスの魅力を発信してもらうことで、よりユーザーに共感されやすく、信頼感を得やすいという特徴があります。
また、特定の分野に強い影響力を持つインフルエンサーに依頼することで、よりターゲット層に響くプロモーションが可能になります。
インフルエンサーの分類
インフルエンサーは、SNSアカウントのフォロワー数に応じて4つの種類に分類されます。
- トップインフルエンサー(フォロワー数:100万人〜)
- ミドルインフルエンサー(フォロワー数:10万人〜100万人)
- マイクロインフルエンサー(フォロワー数:1万人〜10万人)
- ナノインフルエンサー(フォロワー数:数千人〜1万人)
ナノインフルエンサーの定義は業界や媒体によって異なり、1,000人以上とされるケースもあります。
自社の業種に応じた定義の確認が必要です。
どのタイプのインフルエンサーに依頼すべきかは、自社の目的や予算、訴求したいターゲットの広さによって異なります。
各分類のターゲット規模や費用の相場と合わせて、具体的に活用方法を考えてみましょう。
インフルエンサーマーケティングのメリット
インフルエンサーマーケティングを展開するメリットは以下の通りです。
- 身近なおすすめ感覚で、自然と目に入りやすい
- ジャンルごとにターゲティングしやすい
- 情報が拡散されやすい
それぞれのメリットについて、1つずつ解説します。
身近なおすすめ感覚で、自然と目に入りやすい
企業が自ら宣伝する訳ではないので、ユーザーにとって「宣伝されている」という印象が薄く、インフルエンサーの発信内容を受け入れやすい点が大きな魅力です。
インフルエンサーが実際に使ってみた感想として製品やサービスを紹介するため、宣伝っぽさが強すぎず、ユーザーにとっては普段の投稿の延長のような感覚で自然に目に入ります。
投稿内容に「#PR」タグはつくので一切広告っぽさがないとは言えないものの、まるで友達におすすめされているかのように感じられるのが特徴です。
ジャンルごとにターゲティングしやすい
インフルエンサーマーケティングでは「コスメなら美容系YouTuber」「調理器具なら料理系インスタグラマー」など、そのジャンルに特化したインフルエンサーに情報発信を依頼します。
インフルエンサーのフォロワーは、そのインフルエンサーが興味のある分野に関心を持っているため、特定のターゲット層にピンポイントでアプローチできます。
特定の分野や属性のフォロワーを持つインフルエンサーを選ぶことで、アピールしたいターゲットだけに的を絞って効率的に製品の魅力を届けられるでしょう。
情報が拡散されやすい
インフルエンサーマーケティングでは、SNSの「リポスト(リツイート)」や、YouTubeの「高評価」などによる情報拡散が期待できます。
ただし、YouTubeの「高評価」はSNSのリポストのように他ユーザーに直接拡散されるわけではなく、アルゴリズムに影響して表示回数を増やす仕組みです。
インフルエンサーからの情報発信を起点にして「同じ製品を使っています!」「このサービスは楽しそう!」というように、新たに別の口コミが発信されて二次拡散につながります。
インフルエンサーマーケティングのデメリット
インフルエンサーマーケティングに取り組む際のデメリットは次の通りです。
- ステルスマーケティング規制に注意する必要がある
- インフルエンサーの選定が難しい
- 発信する内容を細かく指示できない
以下からは、デメリットに関して、分かりやすくご紹介します。
ステルスマーケティング規制に注意する必要がある
ステルスマーケティング (ステマ) とは、広告であることを明示せずに、あたかも第三者の口コミや意見であるかのように装って製品やサービスを宣伝する行為を指します。
日本では2023年10月1日から景品表示法の不当表示として規制されるようになったので、誤ってステルスマーケティングを行わないように注意が必要です。
ステルスマーケティング規制は、消費者庁が発表した「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示」の指定に基づき、告示第5号として定められました。
事業者がインフルエンサーに依頼して広告を出す場合、消費者がそれを「広告である」と明確にわかるような表示をする必要があります。
報酬の有無にかかわらず、事業者の意図によって商品紹介が行われた場合には、広告表示が必要です。
ギフティングなどでも「PR」や「広告」などの明示が義務付けられています。
インフルエンサーマーケティングを行う場合は「広告」「PR」「プロモーション」といった文言を必ず表示し、宣伝であることを明示してください。
インフルエンサーの選定が難しい
自社のブランドや製品に最適なインフルエンサーを見つけるには、SNSやマーケティングに関する専門知識が求められます。
ただ「フォロワー数が多いから」という理由だけではなく、「どのような投稿をしているのか」「どの投稿が反応がいいのか」といった情報を網羅的に調べてからインフルエンサーを選ぶ必要があり、専門知識がないと難しいでしょう。
発信する内容を細かく指示できない
インフルエンサー本人の魅力が損なわれる恐れがあるので、企業側が事細かに発信する内容を決められません。
依頼した企業側がインフルエンサーの投稿内容や表現方法を完全にコントロールすることは困難で、企業の意図と異なる情報発信や、不適切な表現がされる可能性もゼロとは言い切れないです。
投稿する前に企業が最終確認をするものの、内容の修正が発生して発信するまでに予想よりも長い時間がかかってしまうことが懸念されます。
インフルエンサーマーケティングに利用される主なプラットフォーム
インフルエンサーマーケティングに利用される主なプラットフォームは以下の通りです。
それぞれのプラットフォームの特徴も挙げたので、自社の製品やサービスに合うものを選びましょう。
プラットフォーム |
特徴 |
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・10~30代の若年層および女性のユーザーが大部分を占める ・写真映えするような、見た目重視の製品のPRに向いている ・美容やファッション系におすすめ |
|
X(旧:Twitter) | ・文章をメインにしたコンテンツを投稿できる ・リポスト機能を搭載しているので、拡散力が高い ・バスることを狙いたい場合におすすめ |
YouTube | ・10代~60代以上まで、幅広い年代に利用されている ・動画で製品について詳しく宣伝できる ・メイク動画や使い方など、細かな動きを説明したい場合に向いている |
TikTok | ・10代~20代の若年層のユーザーが多い ・レコメンド機能が搭載されているため、潜在層にもアプローチできる ・ダンスや音楽と合わせた訴求に向いている |
総務省「令和4年通信利用動向調査」(2023年5月)によると、SNSの利用率は13〜19歳で92.5%、20〜29歳で93.1%、30〜39歳で90.2%と、10〜30代でいずれも9割前後に達していることがわかっています。
また、男女別の利用率でも、女性は全体平均よりもやや高い傾向が見られます。
インフルエンサーマーケティングの主な活用パターン
インフルエンサーマーケティングの活用パターンの一例は次の通りです。
活用パターンにより情報の拡散力やアプローチできるターゲット層が異なるので、よく吟味してから施策を検討しましょう。
活用パターン |
詳細 |
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ライブ配信 | インフルエンサーがライブ配信で製品やサービスを紹介し、視聴者とリアルタイムでコミュニケーションを取りながら購買を促進します。
ユーザーからの疑問点をすぐに解消でき、親近感を抱かれやすい点がメリットです。 |
イベント会場・施設への招待 | インフルエンサーを店舗やイベント会場、施設などに招待し、その体験を発信してもらう施策です。
集客や話題作り、現地の雰囲気を伝えるのに効果的です。 |
ギフティング(商品紹介・レビュー等の投稿) | インフルエンサーに製品やサービスを提供し、実際に使った感想やレビューをSNSで発信してもらう手法です。
広告色を抑えつつ、リアルな体験を伝えることで、ユーザーの共感を得やすくなります。 |
公式チャンネル・アカウントへのゲスト出演 | 企業の公式SNSやYouTubeチャンネルなどにインフルエンサーをゲストとして招き、ブランドの認知拡大やフォロワー獲得を狙います。
広告感は比較的強く出ますが、興味を持ったユーザーがしっかりと投稿内容を見る可能性が高いです。 |
インフルエンサーマーケティングの成功事例
インフルエンサーマーケティングの成功事例を4つを取り上げます。
- KATE
- RMK
- ロペピクニック
- Duolingo
以下から解説する成功事例を参考に、自社のターゲット層や商材のジャンルと、事例中の施策がマッチするかどうかを照らし合わせてみてください。
同じような構成で取り組める部分から試してみるのがおすすめです。
KATE
プチプラコスメブランドのKATEが展開しているリップアイテム「リップモンスター」は、色持ちの良さや落ちにくさが高く評価され、発売開始当初から爆発的なヒットを記録しています。
TikTokでは有名インフルエンサーによるPR投稿が行われ、10代〜20代前半のコスメアイテムに敏感な女性へのアピールに成功しました。
インフルエンサーが実際に自分の唇にリップモンスタ―を塗って色味を比較したり、色がマスクにつかないか検証したりする動画が人気を博しました。
RMK
RMKは日本初のデパコスブランドの1つとして名をはせており、ベースアイテム「ルミナス メイクアップベース」を新発売するにあたって美容系インフルエンサーマーケティングを活用しました。
インフルエンサーが持つ複数のプラットフォームで情報を発信することで、RMK公式SNSではアプローチしきれなかった、インフルエンサーのファンへリーチを目指します。
ターゲットの異なるインフルエンサーを起用し、20代〜40代と幅広い年代に訴求したことで、メイクに自信のない層にまで届く網羅的な訴求に成功しました。
ロペピクニック
レディースのカジュアルブランドとして有名なロペピクニックは、インスタグラムでキッズラインの認知拡大を目標にしたインフルエンサーマーケティングを実施。
インフルエンサー自身の良さを損わないように意識して戦略を進めたことで、SNS投稿後の数日間はオンラインストアの売上が前年比115%を超える成果を出しました。
また、Google検索ボリュームでは「ロペピクニック」というキーワードが、投稿の前月から約1.3倍〜1.5倍ほど伸び、ユーザーの購買意欲を高めることにもつながりました。
Duolingo
語学学習アプリのDuolingoは、語学に対するニーズが高く、課金ユーザーに転換しやすいことから、YouTubeで30代・40代を狙ってインフルエンサーマーケティングに取り組みました。
社内分析で「動画内でのDuolingoへの言及率が高いほど、コンバージョンレートも上がる」ことが判明しており、インフルエンサーには動画内で20〜40%以上はDuolingoに関して言及するように依頼しています。
Duolingo自体がおもしろいという自信があるからこそなし得る、挑戦的なインフルエンサーマーケティングの事例です。
インフルエンサーマーケティングで成果を出すためのポイント
インフルエンサーマーケティングで成果を出すためのポイントは以下の通りです。
- インフルエンサーの魅力を潰さない
- 自社製品のターゲットとフォロワー層が合致しているか確認する
- 適切なPR会社を選定する
ポイントを抑えて、効果的なインフルエンサーマーケティングを実現しましょう。
インフルエンサーの魅力を潰さない
インフルエンサーマーケティングでは、インフルエンサーの魅力を潰さないことが大切です。
フォロワーは、インフルエンサー本人がおもしろい・魅力的だと思ってフォローしています。
そのため、あまり細かく指示を出してインフルエンサーの個性や魅力を潰すと、広告感が強く出てしまいPRにとって逆効果となるので注意しましょう。
自社製品のターゲットとフォロワー層が合致しているか確認する
自社製品やサービスのターゲットが、フォロワーの属性や性別などと合致しているか確認しましょう。
たとえば、一口に「美容系YouTuber」と言っても、10〜20代前半の若年層から熱烈な支持を受けているインフルエンサーがいれば、40〜50代のミドルエイジに人気が高いインフルエンサーもいます。
どのターゲット層にアプローチしたいかを考えてから、適切なインフルエンサーを選んでください。
適切なPR会社を選定する
インフルエンサーの選定には専門知識が必要であり、実際にインフルエンサーに情報が発信されるまでには時間がかかるので、ノウハウがないまま自社だけで取り組むのは難しいです。
適切なPR会社にインフルエンサーマーケティングを依頼して、効果的なPRを打ち出すことをおすすめします。
インフルエンサーマーケティングを活用するならマヴェリックまで
今回解説したように、インフルエンサーマーケティングは、ジャンルごとにターゲティングしやすく、情報が拡散されやすいことが魅力です。
しかし、インフルエンサーやプラットフォームの選定が難しく、専門性が高いマーケティング手法です。
化粧品の広告にインフルエンサーマーケティングを活用したいと考えている場合は、化粧品専門のPR会社であるマヴェリックにお任せください。
これまでにインフルエンサーマーケティングで多数の実績を収めているので、気になる方はぜひ一度ご相談ください。